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「目が覚めると楽園でした。」
「全く違うぜ。」
俺が眠って…ジルの話しを聞いている間に何があったのかは分からない。
起きて辺りを見渡すと、図書館や楽園から程遠い場所に居た。
「敢えて口にするのでしたら、ここは地獄になるでしょう。
しかし…このような場所においても、陛下と私の美しさは変わらな」
「黙りや、ナルシー。」
ケインの言葉を途中で遮るドッペル。
俺は俺で…この状況がイマイチ飲み込めずに背負われている。
「次から次へと…。
あ、目から透明な血が。」
アラミンに背負われながら、俺はポケットに入れていたハンカチで涙を拭う。
周りの景色は、荒れ果てていた。
「(一言で言えば、枯渇した…大地。)」
全てが枯れ果て、水も無ければ太陽さえも存在しない。
元々あったらしい木々は、酷く痩せ痩けており…黒々とした葉が所々にあった。
「何があったの?
つか…ここ、アリエル国城がある場所じゃないよな。」
アリエル国領土であるのは間違いない。
俺はアラミンの背中から降りながら、アラミンとドッペル…ケインに問い掛けた。
「解析した資料に載ってたぜ。
それに『カース』の製作方法が書かれてた…知ってるだろ?」
「まあ…。
解析したのは俺だし。」
アラミンの左側を歩き、3人が進む方向へと足を向ける。
大した問題じゃなかった為、俺は省こうとしてたんだけど…アラミン達にとって何か問題があったらしい。
「カイヴェルト陛下達が、カースの効力を消す魔具を製作している間…私達はカースの製作を食い止めよう、という事になったのです陛下。」
カイト達と離れた状態で、城へと殴り込みに行くには危険と判断したらしい。
よって、俺達は別の事をする…と。
「ワイが居って良かったな。
ワイらの時は、原材料になる物がある場所が分かっとったさかい。
そろそろ着くで。」
こんな事は教えてくれるらしい。
ドッペルの存在に感謝しながら、枯れ果てた大地と木々の合間を歩いて向かう。
警戒を怠らないよう、魔力探知の範囲を少しだけ広くした。
「…人が居る。
何か、一ヶ所に集まってるけど…。
採取中ってとこかな?」
広くすると同時に、荒れ果てた道の先に固まる複数の魔力を探知する。
3人に警戒するように伝えると、ドッペルとケインから驚かれた。
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