じめじめのきせつ

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「暑い…ジメジメする…。」 特学の教室。 ジメジメと蒸し暑い空気に、俺は机に寝そべって文句を言う。 「何やアルバート思い出すで…。」 アラミンを押しのけて、俺の後ろに座るカイトも俺と同じ姿勢だ。 降り続く雨に恨みの視線をやって、淀んだ空気と景色に溜息を吐いた。 「ナメクジとカタツムリの季節。」 ヤな事を思い出させたルイスには、キチンと後で蹴りを入れよう。 すると俺の膝で寝ていた銀の子犬が起き上がった。 『ディル、虫ならおれが焼くのっ』 この銀の子犬、姿は違えど聖霊神。 記憶の聖霊神ティゼルグだ。 生みの親が俺の為、何か…お許しが出たとかでずっと一緒に居る。 「むしろ世界中の虫を消してくれ…。」 「それは止めなさい? ティゼも、ディルを甘やかさないの。」 そう言ってティゼを抱きかかえる。 エリシア…お母さんだな。 『はぁい♪』 「ティゼはいい子だね♪」 すっかり人気者だ。 俺は伏せていた身体を起こし、窓を開けて降り続く外に吠える。 「セイレーン!! 泥遊びするからちょっと止めてー!!」 「「ちょ…!!」」 俺の特権。 焦って制止する皆に、ニヤリと笑って明るくなった空を見せる。 「せっかくの昼休み、遊ばないと損だ。 本物の太陽の下で遊ぼうぞ!!」 泥遊びだけど。 でも、くたばってたカイトは参加するみたいで起き上がってた。 「せやな、アレから身体動かしてへんし。 たまにはええな♪」 立ち上がって皆を見る。 アラミンとファルスも参加だ。 「俺もするぜ!! 武術での本気は出せねぇけど、泥遊びなら本気でやれる!!」 「俺もするー!! 久しぶりに遊びたいよー!!」 カレナ達はまだ悩む。 するとルイスも立ち上がった。 「銀色に泥。」 「おま…俺だけかよ?」 機械みたいに頭を縦に振るルイス。 言葉を話せ、言葉をι 「あら、そうはさせないわ。 銀の天使は私が守ってみせてよ!!」 「そのネタは止めて下さい。」 ルイスの言葉にエリシアが立ち上がって敵意を見せる。 すると、諦めたようにアイルが参加した。 「久しぶりですしね。 …日頃の恨み、晴らさせて貰います!!」 ニッコリと俺に笑いかける。 アイルの言葉に触発されてか、全員が参加する事になった。 「お前ら面倒だから、そのままやってろ。 飽きたら戻って来い。」  
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