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「なしてディルは分かるんや?
気配を完全に消したワイに気付いた事も含めて、不思議なんやけど。
まるでティーみたいや。」
ピタリと足を留め、少し前に出た俺とアラミンをマジマジと見つめる2人。
ティーみたい、か。
「俺は『彼』じゃないよ。
けど…ドッペルが言うなら、俺は少しだけ似てるのかもしれない。
『そういう部分』だけは、ね。」
あまり言いたくはない。
『彼』も『俺』も…人間とは違う生き物として、扱われそうだったから。
「それ以上、ディルに突っかからないでくれると嬉しいぜ。
うちの皇子は、まだ子供だ。」
俺の左腕を掴み、留めた足を動かしながら前を見るアラミン。
前髪で顔が隠れている為、表情は読めないけど…不機嫌そうだ。
「(おおう…怒っていらっしゃる。)」
不機嫌なアラミンに、佇んでいた2人は肩を竦めて足を動かした。
気を取り直し、腕を掴まれたまま俺は皆に問い掛ける。
「カースの原料は『源魔石』だよな?
エルに聞いた時、どうやって作られるか知らないとか言ってたけど。」
以前、源魔石によって特殊能力を持ったムカデと遭遇した時エルに聞いた。
その時は、知らないと聞いたんだけど…採掘場とかあるんだろうか。
「っと…ほんまに人が居るな。
少し様子見よか。」
そう言うと、ドッペルは近くにある枯れた草藁に身を潜める。
同じように身を潜めると、ご丁寧にも機嫌の悪いアラミンが教えてくれた。
「ドッペルが言うには、あるらしいぜ。
あの洞窟みたいな場所に、昔はあったらしい…人の出入りがある事からして、ビンゴって感じだ。」
アラミンの視線を追い掛け、沢山の魔力が行ったり来たりする様子を窺いながら眉間に皺を寄せる。
「パッと見た感じだと、ただの洞窟…。
災い人からすれば宝の宝庫…俺達からすれば迷惑極まりない場所、か。」
呆れた口調でそう言うと、ドッペルとケイン皇子は苦笑いを浮かべ…アラミンは浅く溜息を吐いて肩を竦めた。
しっかしまあ…よく隠し通したもんだ。
「ケインは何か聞いてへんのか?
お前さん、一応この国の皇子やろ。」
出入りする人から視線を逸らし、横目で反応を見るドッペル。
失礼とは分かっているものの、事実の確認をしたい俺とアラミンは黙ってケイン皇子の言葉を待った。
「耳にしておらず…。
危険な場所、という名目で長い間封鎖されていた事以外知る事はありません。」
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