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自分が不甲斐ない、と唇を強く噛んで洞窟を睨み付けるケイン皇子。
長い間封鎖されすぎて、気付く事も気付かずに終わった事が悔しいみたいだ。
「ま、仕方ない。
あ…皆、聞くだけ聞いとく。
これからどうする?」
グダグダ言っても、過ぎた時間は戻せないし後悔しても仕方ない。
今は目先の事を片付けるのみ…という意味合いを込めて、無駄に聞いてみた。
「聞くだけ野暮だぜ、ディル。
何より…そのつもりも無いクセに、今更過ぎるとおもうぜ?」
「全くやな。
目の前に入り口があるんや。
どうするも、こうするも無い。」
切り替えの早いアラミン達に、ケイン皇子だけが着いて行けずに戸惑う。
ニヤニヤ笑う俺達に、何かしら…思った事があるらしいケイン皇子。
「コソコソするのはもう飽きた。
考えてばかりじゃ身体が鈍る。」
そう言って隠していた身体を表に出す。
目の前に入り口がある…なら、俺達がするべき事はただ一つ。
「ちょ…す、少し待っ!!」
「「強!!行!!突!!破!!」」
制止するケイン皇子の言葉を無視し、俺はケイン皇子の首根っこを引っ付かんで源魔石を馬車へと積み込む人達に喧嘩を売ってみた。
「ゴルァ悪党ォオオオ!!」
叫ぶと同時に、視線が俺達に降り注ぐ。
向けてくる視線の全てが、キョトンとしていて…ちょ、ちょっと恥ずかしい。
「だがしかし、俺は負けない…!!」
「その勢いは、負けても良いと思うぜ。」
冷静なアラミンの突っ込みを、俺は華麗にスルーする。
この反応からすると、この人達は強制的に働かせられている事が分かった。
「(…ならば!!)
コイツが目に入らぬかぁぁああ!!」
「は?…えぇぇえ!!?」
俺は右手に掴んでいた、この国の皇子Aを突き出して皇子Aと人々を更に驚かせ…少し満足する。
「テメェらぁあ!!
コイツを殺られたくなければ、今すぐ俺様の言う通りにしやがれ!!」
「13のガキがこないな言葉を…。
どうなっとんのや、こん時代は。」
「ドッペルはお黙りっ!!」
ノリにノった俺を、ドッペルは冷ややかな言葉で窘める…が俺はそれを一蹴した。
慌てふためく人々が面白い。
「ケ…ケイン次期国王陛下が…!!」
「人質とは卑怯な!!」
「だがあの者、何処かで見たような…。」
「騙されるな!!
我々を油断させる罠だ!!」
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