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口々に動揺を口にする人々。
背筋がゾクゾクするのを感じ、自然と口端が上がってしまう。
「黙れよ、弱者。
アンタ達は俺様の言う事に従えばいい。
二度は言わない。」
「キャラが崩壊してるぜ…ι」
ボソッと呟いたアラミンの声は、キチンと俺の耳に届いた。
後で叱る事にして、悔しそうに俺達を睨む人々にニヤリと笑う。
「この…人でなし…!!
子供のクセに、人の心を忘れたか!!」
おや…俺達、じゃなくて俺1人みたいだ。
寄って集って何たる弱い者イジメ。
良い大人がする事じゃないのは確か。
「弱い者イジメはダメだぞ?」
「ここに来て正論か…!!
あの子供、子供である事を坂手に!!
ずる賢い子供…故に強い!!」
子供、子供とやかましい民間人A。
それに釣られ、民間人B達までもが掻き立てられて騒ぎを大きくする。
「何やもう突っ込むのも疲れるで。
アホとバカとマヌケでボケが沢山や。」
呆れた表情をしながら、不思議な状況になっている周りに疲れの色を見せた。
そんなドッペルに、俺の手に捕獲されているケイン皇子が助けを求める。
「そんな事はどうでもいいので助けてはもらえないだろうか!!?
何故に私が人質と…陛下、落ち着い」
「黙るのだ皇子Aよ!!」
「皇子A…だと…?
ならば皇子Bが居るはずだ!!
皇子Bは何処へやった!!?」
このノリは好きだけど、収拾の付かないボケはお断りだ。
よって…適当に終わらせた。
「俺様に許可無く会話をするなぁああ!!
皇子Aを殺られたくなければ、積み荷を置いて立ち去れ民間人!!
風よりも、光りよりも早く立ち去れ!!」
「無茶振りだぜディル。
おまけに、どっちが悪党か分からねえセリフになってるぜ?」
冷静過ぎるアラミンのツッコミと同時に今まで騒いでいた人々の声が静まる。
予想外な展開に、俺は少し戸惑いながら民間人達を見つめた。
「積み荷…。
もしや、この『源魔石』の事か?」
それ以外に何がある、と言いそうになった言葉を飲み込んで黙って頷く。
すると、首根っこを掴まれたケイン皇子が口を開いた。
「お前たち、済まないが私達に従ってはくれないだろうか。
散々騒いで悪いが、この方々は悪い人達ではない…と思う。」
些か気になる言葉が語尾にあるが、これ以上口出しするとアラミンに怒られそうなので止めておいた。
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