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本当はこんなキャラじゃないんだけど。
そんな事を思いながら、俺は民間人達を見渡して襲ってくるのを待つ。
「何時でも来ていいぜ?
ま、怪我1つ負わせる事も無く終わるだろうけどな。」
更に挑発するアラミンを、心の中ですると民間人Aが俺へと向かってきた。
その手には発掘用具握られていて、あまり賢くない攻撃の仕方をしようとしている。
「(全く…。)
抜け出せない悪夢に身を委ねろ。
『スリードリ』!!」
放たれた魔術は、民間人達を瞬く間に闇の光りで包み一瞬で消え去った。
「けったいな魔術やな…。」
消えた光りの前に、横たわるたくさんの人達を見て不審がるドッペル。
…当たり前ちっちゃあ当たり前。
「ドッペル達が使う魔術と、俺達が使う魔術はかなり違うぜ。
基本、俺達はこの魔術しか使わねえ。」
簡単に説明しながら、深い眠りについた人々を一ヶ所に纏めるアラミン。
その隣りで、ケイン皇子は俺が放った魔術に恐怖していた。
「あ…悪夢…!!」
何かを思い出したかのように身体をガタガタ震わせるケイン皇子。
…何だか気の毒な事をしたな。
「よう分からんけど、先進もか。
こん積み荷の浄化は任せえ。
ディル達は洞窟ん中の源魔石を頼む。」
安全を保障するシールドを民間人達に施し、馬車の中へと姿を消すドッペル。
トリップしていたケイン皇子を現実に戻し、俺達は洞窟へと足を踏み入れた。
「って有り得なーい♪」
入り口に足を踏み入れて直ぐ、キラキラと災いの光りを醸し出す沢山の原石達。
思わず現実逃避したくなった。
「大量過ぎるぜ…ι
入り口付近でこの状態だと、最深部はもっと酷いだろうぜ。」
本来なら、周りにあるのは岩のはず。
それが、全て災いの色を持った紫色の源魔石で埋め尽くされている。
辺り一面、源魔石…だ。
「凄まじい…。
父上、何故このような場所を今まで放置していたのですか…。」
愕然とする光景に、ケイン皇子は居もしない人物に問い掛ける。
後悔しても遅いとは言うけれど、ケイン皇子に掛ける言葉は無い。
「(仕方ない、よな。
けど、相当ショクだろ…。)」
実の父親…おまけに、一国の主となる人物が成した事態だ。
ケイン皇子に気付かれないよう、浅い溜息を吐いて2人に言い放つ。
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