じめじめのきせつ

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「相殺は無理のようだな。 さて、オレも混ざろう。」 似たような考えをする辺り、流石。 俺の兄であるシューちゃんも参戦する。 「つか…キラ、フルボッコ?」 「…ティゼ君に…。」 泥まみれのキラを見つけて、思わず手を止めてしまう。 流石だティゼ、弱者からいたぶる辺りが俺ソックリ。 「何か…可哀想だから、1発あげる。」 「そっちの方が可哀想だと。」 べちゃっとキラに投げたら、背中にべちゃっと当てられる。 不覚にも、ベイトにやられた。 「許すまじ!! ティゼ、殺ってしまえ☆」 『はぁい♪』 「字が違うぞ!!?」 軽い身のこなしで笑いながらベイトに泥を投げるティゼ。 ティゼ、俺は今…歳を感じたよ。 「昔はお前もああだった。」 「だなッ…!!」 しみじみと感傷に浸っていると、ルイスが襲ってきたので気持ちを切り替える。 そこでふと気付いた。 「そういや、魔武器はダメだけど…」 魔術を使うのは禁止していない。 そして俺はルイスに負けそう。 体力的に俺はルイスに劣る。 「卑怯な。」 ニヤリと笑って、魔術を纏う。 完璧すぎるこの魔術。 「『自略詠唱・改』!!」 纏うのは土でなく泥。 そして解除するにも難しい構成をした。 それが、自略詠唱・改。 「あー、その手があったー♪」 悪戦苦闘していたファルスは、俺の真似をして泥を纏う。 それを見た皆は、一斉に火の魔術を俺とファルスに放ってくる。 「だがしかし俺には通用しない!! ふはははは…破ーッ破ッ破ッ破ッ破!!」 魔力の消費、限界の限界を超えたせいなのか倍増した魔力が俺にはある。 懲りずに火の魔術を放つ皆に、高笑いをして泥をぶつける。 「この『魔王』 ディルウェスト様に魔術で勝てる奴は世界に1人として居はしなぁぁあい!!」 女神なら勝てるけども。 すると、アイルが負けじと立ち上がる。 「勝ってみせますディルさんに!! 『火の聖霊神よ、我が願い聞け。 全ての者に怒りの炎を 全ての仇なす者に、火の鉄槌を 全ての怒りと温もりを!!』」 その詠唱を聞いて、少し焦る。 まさか古代魔術を詠唱するとは。 「『イン・ブレーブ』!!」 俺の足元に小さな魔導陣が具現する。 範囲は単体で、対象は俺。 けど俺はその魔導陣を上書きした。 「『イクシオン』」  
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