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上書きした魔導陣は、たった一声で俺の物となった。
目の前に具現化するのは火の剣。
「どーよ、まだ殺るか?」
その剣を持ったまま、自略詠唱を纏う。
剣の熱で固まるはずの泥は、ヌルヌルと俺の周りを回っていた。
「う…上書きって、有りですか…?」
怖ず怖ずと隣りに居たシューちゃんに尋ねるアイルに、シューちゃんは肩を叩いて威張った。
「相手はディルだからな!!」
「「あー…」」
「いやいや納得すんなよ!!?」
意外と簡単な魔術の上書き。
それを俺だから、と言って納得されてしまった…ので。
「お前ら…全員、泥祭りにしてやんよ!!」
血祭りでなく、泥祭り。
具現化した剣を消して、俺の行動に固まるティゼごと皆を泥まみれにした。
「俺は無事だけどねー♪
わははははー♪」
同じように皆を泥まみれにするファルスも大概…俺に似てきたなι
末恐ろしい。
「…それ…ディルが言う事かしら…」
髪の毛にまで泥がついたエリシアは、シクシクと泣きながら他の皆に泥を当てる。
ちゃっかり泥を当てる辺り、そんなにショックじゃないみたい。
「エリシア酷いよッ!!
ぜっったいに許さなーい!!」
そこから始まる泥合戦再び。
優越感に飽きた俺とファルスも、自略詠唱を解いて加わる。
気付けば授業が終わっており、気付けば沢山のギャラリーが居た。
「特学、おもしれー事やってるぜ!!」
「あはは!!
シュヴァイト先生も一緒よ。」
「つかハイレベルだな…」
「あ、ディル達だ!!
うっわ楽しそー!!」
ワラワラ集まるギャラリー達と、段々疲れて来た俺達は泥合戦を止めた。
終わった後は、全員地面にへたり込む。
「はっ…はっ…はぁー!!
どん、くらい…当たっ…たッ?」
地面に寝そべるルイスに尋ねる。
つかお前、皇子だぞ一応。
「…はっ……かな、り。」
あのルイスが息を切らしてる。
俺は目に魔力を溜めて皆を眺める。
カイト、エリシア、ファルス、アイルも同じように見ていた。
「…え、と…や…な…ッ!!」
「はぁ…はぁ…アミラ、さん…あ…違う」
「…ちょ、と…キラー…ッ?
あな、た…当たり、すぎ…よ…!!」
「あは…はーっ!!
キラ、だ…よー…ッ」
息が切れすぎだお前ら。
人の事は言えんがな。
「…ふぁ…い…」
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