携帯電話

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会社を出て駅に向かう。 そういえば、皆は先輩のお見舞いに行ったのかな? 今の先輩の状態を話ておくべきかな? 俺は携帯電話を取り出し、同僚に電話をした。 プルルルル…プルルルル… 「はい。真田ですけど。」 同僚の声に妙な安心感を覚える。 「もしもし?及川だけど。先輩のお見舞い行った?」 「あぁ。今向かってる…」 と突然、「ピピピッピピピッ」と携帯が鳴った。 しまった。充電が切れる。 「スマン携帯の充電が…」 言い終わらないウチに携帯の画面が暗くなった。 …仕方ない。別に言わなくてもいいか。 先入観を与えて妙な空気になっても困るしな。 明日会社で聞けばいいか。 俺は大して気にもせずに携帯をしまった。 …そうだよな。俺の考え過ぎだよな。 きっと怪我のせいで、記憶が混乱しているだけさ。 俺は自分に、そう言い聞かせた。
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