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しかし…
マスターに、そんな過去があったとは…
俺は、マスターを励ますように言った。
「マスター。犯人…見つかるといいですね。」
マスターは俺を見返して言う。
「有り難うございます。……………………くくくっ………あははははっ!」
突然マスターが笑いだした。
俺は目を丸くしながら聞く。
「ど…どうしたんですか?マスター?急に笑いだして?」
「いや…はははっ。どうでした私の話。全部作り話ですよ。」
はぁ~?
なに~?
作り話?
「いや~。及川さんが怖い話をしてたから…私も乗っかってみたんですよ。」
なんだそりゃ?
圭一の話がネタなら…マスターの話もネタかい!
「全く、二人とも… 冗談も程々にしてよ~…」
俺は圭一とマスターを交互に見た。
すると圭一は、「はははっ。たまにはこんな話も面白いだろ?それに最初に話をふってきたのは、お前だし。」
まぁ…確かにその通りだが…
「あぁ。そうだったな。悪かったよ。変な事を聞いた俺が、悪かったよ。」
…しかし…それならそれで、一つ気になる事がある。
俺は圭一に聞いた。
「結局…その左手の話は…どうなったんだ?」
「ま~だ聞くか?お前は?その話はまた今度な…」
そう言って圭一は、グラスの酒を飲む。
そしてまたボソッと…
『…次があればの話だがな…』
ん?
何だって?
『次があれば?』
何の話だ?
聞き間違いか?
俺は少し背筋が寒くなってきた。
「あ~、飲み過ぎたかな。ちょっとトイレに行ってくるわ。」
俺は席を立ち、トイレに向かった。
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