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俺はトイレで用を足しながら…
「全く~二人とも。悪ふざけが過ぎるな。俺も今度、怖い話でも仕込んでくるかな。」
…手を洗いトイレを出る。
俺は席に戻ると、テーブルの上に置いておいた、携帯電話で時間を見る。
「もうこんな時間か…ボチボチ帰るか…」
時間は午前1時を回っていた。
そこで圭一が言う。
「今日はお前のオゴリな。面白い話をしてやったろ?」
そう言うと圭一は、グラスを目の前に上げ、「ごっそさん。」
と一言いった。
「仕方ね~な~。拝聴料か?い~よオゴルよ。」
俺はテーブルの上に置いておいた、財布に手を伸ばす。
それを見た圭一が「お前さ。いつも財布と携帯をテーブルに置きっぱなしにしてるけど…不用心じゃないか?」
最もな質問だが…
俺は言い返した。
「目の前でマスターが見てるんだから安心だよ。それにポケットに入れとくと、落としたりするからな。目の前に置いた方が、安心するんだよ。」
「ふ~ん…そんなモノかね。」
「そんなモノだよ。…マスター。お会計して、二人分ね。」
俺はマスターに声をかけたが…
何故か奥から、別の従業員がやってきた。
「はい。お会計ですね。お二人様で7500円になります。」
…あれ?
何か…おかしくないか?
普通お会計ってマスターがしないか?
何でわざわざ、別の従業員がするんだ?
俺はマスターの方を見てみる。
…マスターは笑顔で立っている。
まさか…
見えてない?
いやいや…そんなハズはない。
俺は何回か来ているが…マスターは毎回いたよな…
でも…会計はどうだっただろう?
…気にしてないせいか、覚えていない。
俺は会計をしながら、従業員に聞いてみた。
「あ…じゃあ10000円で…ところでさ…今日は従業員は何人いる?」
従業員は釣りを渡しながら…
「おかしな事を聞きますね。今日は自分以外にはいませんよ?どうも有り難うございました。」
え…いない?
じゃあ、目の前に居るマスターは何者だ?
まさか…『死神』?
お釣りを受け取り、呆然としていると、マスターが近付いてきて言った。
「ビックリしましたか?及川さんがあの話をした時は、リアリティーを出す為に、私の事は見えない事にしてあるんですよ。」
…
……
………全く。
最後の最後まで。
よくやるよ…
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