携帯電話

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それは長い梅雨も明け、初夏の香りが漂う季節。 朝いつも通りに会社に出社すると、いつもは俺より先に来ているハズの先輩が来ていない。 珍しいな…風邪でも曳いたのかな? 体格だけ見れば、営業よりはガテン系な先輩なのだが。 鬼の攪乱ってヤツかな? 俺は内心笑いながらも同僚に聞いてみた。 「あれ~?広瀬さんは?休み?」 「あぁ休み。なんでも大怪我したって。今頃病院のベッドで唸ってるよ。」 「怪我?事故でも起こしたのかな?」 「ん~…詳しい事は聞いてないからなんとも。病院は聞いたから仕事が終わったら見舞いに行くけど。一緒に行くか?」 普段から世話になってて、何かと可愛いがってくれる先輩だ。 先に俺だけでも見舞いに行くか。 「いや。営業の途中にでも寄るよ。病院の場所だけ教えて。」 「了解。市内の総合病院だ。病室は…受付で聞いてくれ。」 「わかった。ありがと。」 総合病院なら割と近いな。 営業の途中で行ってみるか。 さて…そろそろ就業の時間だな。 俺は外回りの準備を始めた。
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