9人が本棚に入れています
本棚に追加
病院の受け付けでは受付嬢?が、何やら世話しなく働いている。
「あの~すみません。お見舞いに来たんですけど。入院病棟はドコでしょうか?」
「はい。お見舞いですね。患者様のお名前は?」
「広瀬…広瀬大輔です。」
「かしこまりました。広瀬様ですね。」
受付嬢はパソコンを見ながら…
「広瀬様は外科病棟の302号室ですね。外科病棟はコチラの廊下を歩いて頂いて、突き当たりを右に進んだ先になります。」
「どうもありがとうございます。」
俺は言われた通り先に進み、外科病棟を目指した。
そして歩きながら思う。
大体の人は病院が嫌いだと言う。
まぁ、大好きだと言う人間はあまり聞かない。
しかし俺は、この病院の独特の臭いが好きだ。
人間は大体の人が病院で産まれ、病院で死んでいく。
勿論全ての人間がそうとは限らないが。
少なくとも俺は病院で産まれた。
いわば産まれ故郷みたいなもんだ。
なのに何故、皆はそこまで毛嫌いするのか?
…などとくだらない事を考えながら歩いていると、どうやら目的地に着いた様だ。
ナースステーションに居る看護師さんに声を掛ける。
「すみません。広瀬さんのお見舞いに来たんですけど。」
「はい。それではこちらのノートにお名前と時間、訪問先のお部屋と患者様のお名前をお願いします。」
俺は言われた通りに記入し、先輩の居る部屋に向かう。
「302…302…と、あったあった。」
入口のプレートに数人の名前に混じって、見慣れた名前があった。
「大部屋か…まぁ静かにしないとな。」
俺は部屋の扉をノックし、中に入る。
入院患者が一斉に俺の方を見る。
しかしその中に先輩の顔はない。
…どうやらあそこか。
一つだけカーテンで仕切られたベッドがある。
入って右側の一番奥。
俺は先輩のベッドに向かった。
最初のコメントを投稿しよう!