162人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな言葉を残して、その人は去った。
なんだかドキドキする言葉で、本気であたしも‥‥と勘違いできてしまいそうだ。
でも幸いというべきか、優梨がやって来た。
「おまたせ―‥‥砂奈ちゃん?」
「ん、終わった?」
「うん!砂奈ちゃんさっきと雰囲気違うね‥‥」
やっぱり髪ゴムのことかな、いつもやらないことなんだし、やらなきゃよかった。
「あ、うん。貰ったんだ。でもやっぱ似合わないね」
「ううん!すっごい可愛いよ!あ、違うかも。大人っぽくて綺麗、かな」
一瞬、本気で今日が4月1日なのではないかと考えた。きっと優梨は強制的に言わされたんだ。あたしのことを『綺麗』と言えって。
なんて反応したらいいのかわからず、しばらく無言で歩いてしまった。感のいい優梨はわかってくれたんだと思う。何にも言わずに微笑んであたしと一緒に歩いてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!