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「だから、じゃじゃーん!」
「‥‥なんですか?」
「もぅ、やぁね」
その人が手にしていたのはブルーの花の髪ゴム。
「あなた、せっかく可愛い顔してるんだもの。髪型変えるだけでも雰囲気よくなるわよ?」
そう言ってあたしの髪を一束とって結った。いつもなら人に髪をいじられるのは嫌いなのに、不思議と嫌なかんじはしなかった。きっとこの人の手際がよかったから。
見て、と美容院のガラスの扉の前に立たせる。薄くあたしを写したガラスが、いつもと違って見えたのは気のせいじゃない。
でも写ったあたしが次に見つけたのは美容院の中にいる優梨の姿。
「‥‥ありがとうございます。でもあたし、可愛くないし、このままでいいんです、あたしは」
こういうときポジティブに考えられる子なら、ちゃんと笑顔でありがとうって言えるんだろうな。
「‥‥お友達終わったみたいね。そのゴムはあげるわ。」
「あ、ありがとうございます。」
「うん、それじゃ」
そう言って戻っていった。
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