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あれから、あたしはムサシの家から学校に通い続けた。
その間にもチカさんは母さんと根気よく話し合いを重ね、借金の整理をするために弁護士まで紹介してくれた。母さんはカウンセリングを受けるようになって、だいぶ表情が穏やかになったように思う。
最初は敵意むき出しにしていたムサシにも、今は「ユリを泣かせたら許さないから」なんて、軽口を叩けるまでになった。
あたしは、四月から専門学校に入学する。
勉強嫌いだったあたしも、優秀な家庭教師たち(ムサシ、チカさん、佐原先生)によってなんとか試験に合格出来た。
「本当に、ありがとう」
あたしの言葉に、二人は微笑む。
あたしも、涙ぐみながら笑う。
「じゃあユリちゃん、行こうか。お母さんと巴ちゃんが待ってるよ」
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