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五時過ぎに降り始めた雨は一向にやみそうになかった。
ざあざあざあざあ、うっとうしいことこの上ない。
あたしは最寄り駅で途方に暮れていた。
ここから家まで歩いて二十分はかかる。ボロくて、駅から遠くて、おまけに日当たりまで悪い家。
おかげで梅雨時にはやたらとカビが生えるんだ。去年なんて、風邪で寝込んでる間にローファーにびっしりと。
これ一足しかないのに、どうしろっていうの。おかげでもう一度寝込むかと思ったよ。
そう、うちはそのくらい貧乏なんだ。
なんでかって?
理由はシンプル。父親が外に女を作って逃げたから。しかも、借金のおまけつき。
そんなわけであたしは母さんと二人、細々と暮らして来た。
今日だって、学校が終わったらすぐにコンビニのバイトの予定だったんだよ。
なのに。
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