2.危ない橋は叩いて砕く。

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 しかし、ムサシの腕があたしを閉じ込める。 「な、何すんのよ。離してよ!」  あたしは身をよじるが、びくともしない。それどころか、暴れたせいでより密着する羽目になった。  タンクトップ一枚の胸板に押し付けられ、その体温にあたしの頬は熱くなる。 「帰すつもりなどない」  低い囁きが降って来て、あたしは思わず顔を上げる。  至近距離で見るムサシの顔はやっぱり端正で、鼓動が早くなる。 「何言ってんのよ……」  あたしの抗議も心なしか、力が入らない。  と、その時。  ムサシによってあたしは再びベッドに縫い付けられてしまう。抵抗しようにも、両手はムサシの左手一本にまとめられて頭の上へ……ってえええ!?  ガチャリ。  ガチャリ。  あたしの両手は何やら金属質のもので拘束されてしまった。
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