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「て……て……」
「うん? 『抱いて』か?」
「違うわ! これ手錠じゃないか!」
そう、あたしの右手と左手はムサシがいつの間にか取り出した銀色の手錠によって結ばれていた。
こんなの、どこにしまってあったのよ。
「レプリカだが、本物と同じくらいには頑丈だ」
「解説しなくていいから外しなさいよ!」
「断る」
短い拒絶の響きに、あたしは絶望する。
監禁。そののち暴行。殺してバラバラにされ、死体遺棄。
テレビでよく見るシナリオがぱたぱたと頭の中に展開されてゆく。
ああ、ハタチくらいで死んでもいいって思ってたけど、これじゃちょっと早すぎない?
死ぬ前に一度、ドンペリとか飲んでみたかったなあ……。
キラキラと回るミラーボールが、あたしの脳裏でゆっくりとぼやけていった。
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