3.一宿一飯の恩はカラダで。

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 そう、肩の火傷は母さんにコテを押し付けられて出来たものだ。彼女が髪を巻いてる時に、あたしが話しかけたのが気に障ったらしい。  一発ビンタをかまされ、倒れたところに熱いコテでじゅわっと。 「なぜ、抵抗しない」 「出来るわけないじゃない。あんなでも、たった一人の家族だもん」  はねのけることなんて簡単だ。  あたしは、母さんよりずっと力も強いしケンカのやり方も知ってる。  だけど。 「あたしが手をあげたら、母さんは母さんじゃなくなっちゃうよ」  だから、あたしが我慢すればいいだけの話。  高校を卒業するまでの辛抱だ。だってあたしは家を出て、寮つきのキャバクラで働くんだもの。  そしていつかは自分のためにマンションを買う。あたしだけの家を。
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