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足元に手をやると、大きな塊に触る。
その塊を隅々まで触ると人だとわかった。
声が言っていたことは本当だった。
声をかけるが返事がない。
体を揺さ振るが反応がない。
息をしているか確かめると微かにしていた。
菜奈は、運ぼうとしたが重くてびくともしない。
『誰か、手を貸して!』
「……」
『いつもは無駄に助けるくせに……こう言うときは助けないなんて』
『うっ……』
『あっ!!大丈夫?』
『……あ……ぁ』
青年は、意識を取り戻し起き上がった。
菜奈は、青年の腕を探り当て自分の肩に回し立ち上がらせた。
そして、そのまま自分の家へと連れて帰ろうした。
しかし、自分より身長も体格も大きい青年を菜奈一人で抱えるのはさすがに無理だ。
しかも双剣を携えている。
『僕のことは……』
『倒れてた人をほっとけないよ』
薄暗い中を菜奈は一生懸命青年を抱えて歩く。
しかし、目の見えない菜奈は、少しの段差でも転んでしまう。
それでも、何度も立ち上がり青年を運ぼうとした。
すると、もう大丈夫と青年は、菜奈の肩から手を退けた。
それならと菜奈は、青年の手を引き歩き出した。
青年は、戸惑いなからも菜奈について行った。
菜奈の家の近くまで来るとドアの前でハーネルが立っていた
『おじいちゃん、帰ったわ』
『お帰……』
ハーネルは、いつも菜奈が帰ってくるのをこうやって待っていた。
いつもは優しく声をかけて菜奈を迎えのだが、今日は違った。
無理もない。
菜奈が見知らぬ、しかも男を連れて帰って来たのだから。
『どうしたの?』
『その青年は?』
『街の入口で倒れていたの。ほっとけないから連れて来たの』
『そうか…まぁ入りなさい』
戸惑いながらもハーネルは青年を中へと招き入れた。
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