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『ロ……イド』
青年は、その名前に聞き覚えがあった。
自分の名前なのかは、はっきりしない。
でも、誰かにそう呼ばれていた様な気がしていた。
青年は、ロイドでいいと菜奈に微笑んだ。
しかし、菜奈と視線が合わなかった。
ロイドは、不思議そうに首を傾げた。
そんなロイドを余所にハーネルは、自己紹介と菜奈を紹介した。
そして手を差し伸べた。
ロイドは、戸惑いながら手を伸ばし握手をした。
菜奈も握手がしたいのか、手を伸ばしたが、その手はロイドの鼻に触れた。
菜奈は、慌てて手を引き、ロイドの手を探した。
その行動にロイドは、また首を傾げた。
『この子は目が見えないんだ』
『だから、さっき……』
『ごめんなさい』
菜奈が深々と頭を下げると、ロイドは、優しく菜奈の頭を撫でいいよと言った。
その言葉に菜奈は満面の笑みを浮かべた。
その顔を見たロイドは、胸が熱くなるのを感じた。
それが何なのかロイドにはわからなかった。
『さぁ、今日はもう休もう』
『はぁい』
『君はベッドをつかいなさい』
ハーネルは、ベッドから毛布をとり、菜奈を連れて床に座った。
ロイドは、慌ててハーネルから毛布を取り上げ、2人にベッドへ行くよう言い床に寝ころんだ。
2人は、反論できず顔を見合わた。
仕方なく2人は、ベッドに向かい横になった。
ベッドは、2人で寝るには少し無理があるが、互いの体温が重なり暖かく、菜奈はこうしていると安心して寝られた
『おやすみ、おじいちゃん、ロイド』
『おやすみ、菜奈』
『……』
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