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「今日は、海斗遅れてるのよ、少し待ってあげて貰える?」
オレンジジュースがカウンターに置かれた。
私はお礼をいい、口をつけた。
「あの、今日のお客様は?」
ママは、バチっと片目をつぶる。
「和人さんよ」
その名前に胸が高鳴る。
自然に顔がにやけたのか、それを見たママはこらこらと私をいさめた。
「あくまでも、仕事。でしょ。
本気になるのはルール違反よ」
ママの言葉に、私は舌を出す。
「大丈夫よ、ママ。そういう気はないから」
「でも、優花ちゃんずいぶんと気に入られたのね。最近ずっとご指名じゃない」
「そうですかね?」
そうよ、とママは再びグラスを拭き始める。
「最近は優花ちゃんも楽しそうだし、良かったわ」
確かに楽しい。
この仕事は、私を一夜のお姫様にしてくれるから。
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