第2章

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「今日は、海斗遅れてるのよ、少し待ってあげて貰える?」 オレンジジュースがカウンターに置かれた。 私はお礼をいい、口をつけた。 「あの、今日のお客様は?」 ママは、バチっと片目をつぶる。 「和人さんよ」 その名前に胸が高鳴る。 自然に顔がにやけたのか、それを見たママはこらこらと私をいさめた。 「あくまでも、仕事。でしょ。 本気になるのはルール違反よ」 ママの言葉に、私は舌を出す。 「大丈夫よ、ママ。そういう気はないから」 「でも、優花ちゃんずいぶんと気に入られたのね。最近ずっとご指名じゃない」 「そうですかね?」 そうよ、とママは再びグラスを拭き始める。 「最近は優花ちゃんも楽しそうだし、良かったわ」 確かに楽しい。 この仕事は、私を一夜のお姫様にしてくれるから。
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