第8章

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駅前で初めてあった和人は、私に優しくしてくれた。 でも笑顔を見せるその顔は、どこかフィルターがかかった様にぎこちないと感じたんだ。 『楽しく、ないですか?』 つい、口に出た言葉。 和人は驚いた様にこっちを見た。 『いや、楽しいよ』 そう言って笑う笑顔はやっぱり作り笑い。 辛そうな表情が見栄隠れする。 『じゃあ、なにか辛いんですか?辛いのなら無理して笑わなくていいですよ。私は構いませんから』 あれから和人は、契約終了まで黙り込んだっけ。 もう来ないかな、そう思ってたら。 『優花ちゃん、来週和人さんが指名して来たわよ』 ママが嬉しそうに言った。 正直嫌われたのかと思ったから、すごくびっくりしたのを覚えてる。 あの時だ。
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