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でも、真実を知ったら?
私が本当は地味な高校生だと知ったら?
彼はどんな顔をするだろうか。
言えない。
本当の事が。
怖くて言えない。
私は和人の胸を手で押すと、静かに離れる。
「優花ちゃん?」
和人が不安げに私を見つめた。
「…ごめん、なさい」
私は声を震わせながら呟いた。
「私は、応えられない」
違う。
本当は声を出して叫びたい。
あなたが好き。
「応えられないの、ごめんなさい」
それだけ言うのが精一杯だった。
私は、駆け出しその場から離れた。
墓の前には和人が茫然と佇んでいた。
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