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少しでも、和人から離れたかった。
涙で道がぼやける。
どのくらい走っただろう。
パンプスに違和感を感じた。
私はつまずき、道路に倒れ込む。
パンプスを見ると、ヒールが取れていた。
後ろを振りかえる。
和人は追ってこない。
私は涙をふき立ち上がると、パンプスを脱いだ。
手から血が出ている。
「痛い…」
手のひらの痛みじゃなくて、心が痛い。
後悔している。
なんであんな事を言ったんだろう。
あんなに望んだ事が叶うはずだったのに。
私は逃げ出した。
夢は夢のままでいたかった。
なんの障害もなくて甘い夢を見れる。
でも、夢が現実になると今度は怖くなる。
もしも知られたら?
もしも拒否されたら?
私には耐えられない。
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