第8章

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少しでも、和人から離れたかった。 涙で道がぼやける。 どのくらい走っただろう。 パンプスに違和感を感じた。 私はつまずき、道路に倒れ込む。 パンプスを見ると、ヒールが取れていた。 後ろを振りかえる。 和人は追ってこない。 私は涙をふき立ち上がると、パンプスを脱いだ。 手から血が出ている。 「痛い…」 手のひらの痛みじゃなくて、心が痛い。 後悔している。 なんであんな事を言ったんだろう。 あんなに望んだ事が叶うはずだったのに。 私は逃げ出した。 夢は夢のままでいたかった。 なんの障害もなくて甘い夢を見れる。 でも、夢が現実になると今度は怖くなる。 もしも知られたら? もしも拒否されたら? 私には耐えられない。
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