第8章

19/19
前へ
/204ページ
次へ
私は卑怯だ。 誰よりも鳥籠から出たい筈なのに、 いざ出してくれる人が現れると怯えて隅に隠れてしまう。 そして差しのべようとした手を傷つけてしまうんだ。 「もう、やだよぉ」 傷つけた。 きっと傷つけた。 私のエゴの為に和人を。 私は膝を抱え道端で泣いた。 傷つけるくらいなら、もう離れた方がいい。 鳥籠から出たいなんてもう思わない。 私は、もうシンデレラなんかじゃない。 壊れるくらいなら自分から灰かぶり姫のままでいなければ。 和人の為の魔法はもう、終わりなんだ。
/204ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46983人が本棚に入れています
本棚に追加