第2章

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ばたん、と強く扉が開き、息を切らせた青年が飛び込んできた。 かなり急いで来たのか、柔らかな明るい茶色の髪がやや乱れている。 「ママ、ごめん。遅れた」 青年はそう言って、どっかりとカウンターのイスに座り込んだ。 「海斗、今日も撮影?」 青年…海斗は「ああ」と短く言い、ママが出した水を一気に飲み干す。 「今日は我が儘なアイドルがスチール撮影でさ。ここをこうしろとかうるさいでやんの。 優花みたく素直で単純なら早く終われたのにな」 そう言って海斗はいたずらっ子の様な瞳で、隣の私の頭をくしゃくしゃと撫でる。 私はくしゃくしゃになった髪を戻しながらむうっと膨れた。 「どうせ私は単純ですよ」 「あ、怒った? 別に悪い意味じゃ無いぜ」 そう言って海斗は私に笑いかけた。
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