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「メイク、取れたな」
車の中でしばらく泣いてようやく落ち着いた私に、海斗が運転しながらメイクバッグを渡す。
「やり直す?」
「ううん、もう落とすよ」
海斗はファミレスに車を止めた。
「ほら、ファミレス入るから化粧室できちんと落とせ」
スニーカーとタオルを手渡される。
スニーカーはブカブカだった。
「大きいよ」
「仕方ないだろ。俺のだから」
海斗は、小さく舌を出した。
化粧室に入ると、メイクを落とし綺麗に顔を洗い流した。
元の平凡な女の子に戻る。
髪は巻いたままだけど。
顔を拭くと化粧室を出る。
海斗は、私にココアを注文していてくれた。
「ほら、飲め」
私はココアに口をつけた。ほんのり身体が暖まる。
「…落ち着いたか?」
海斗の声に私は頷いた。
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