第9章

4/10
前へ
/204ページ
次へ
「メイク、取れたな」 車の中でしばらく泣いてようやく落ち着いた私に、海斗が運転しながらメイクバッグを渡す。 「やり直す?」 「ううん、もう落とすよ」 海斗はファミレスに車を止めた。 「ほら、ファミレス入るから化粧室できちんと落とせ」 スニーカーとタオルを手渡される。 スニーカーはブカブカだった。 「大きいよ」 「仕方ないだろ。俺のだから」 海斗は、小さく舌を出した。 化粧室に入ると、メイクを落とし綺麗に顔を洗い流した。 元の平凡な女の子に戻る。 髪は巻いたままだけど。 顔を拭くと化粧室を出る。 海斗は、私にココアを注文していてくれた。 「ほら、飲め」 私はココアに口をつけた。ほんのり身体が暖まる。 「…落ち着いたか?」 海斗の声に私は頷いた。
/204ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46983人が本棚に入れています
本棚に追加