第9章

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「理由を、聞いた?」 「いいや、和人さんは何にも言わなかったから。ただ迎えに来てくれって、それだけ。荷物だけは預かったよ」 海斗は、コーヒーを飲みながら言った。 「ま、和人さんの表情から大体予想出来たけどな。お前が振られたか、あいつを振ったか、どちらかだろう?」 「…ごめんね。海斗。私は契約違反だよ。本気の恋愛は禁止だったのに」 もう、『蝶の夢』にはいられない。 覚悟する私に、海斗は能天気な声で言った。 「まあ、仕事はしばらく休業だな。ママには今日の事は言ってないから安心しろ」 海斗はコーヒーを飲みほすと優しく笑いかける。 温かい優しさ。 私は素直にお礼を言った。
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