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また冗談かと思ってた。
あの時みたいに。
でも海斗は真剣な表情だ。
「ずっと前から、好きだった」
海斗はゆっくりと告白を繰り返す。
私は海斗を見た。
「海斗」
「…返事は今じゃなくてもいいんだ、ずっと待ってるし…」
「…忘れさせてくれるの?」
私の呟きに、海斗はびっくりしたようにこちらを見た。
「和人さんを、忘れさせてくれるの?」
その言葉に、海斗は私を強く抱き締めた。海斗の胸の中で、私は静かに目を閉じる。
「忘れさせてやる」
海斗は私を抱き締めたまま囁く。
強い言葉。
ほんとに忘れられるかもしれない。
海斗となら、きっと苦しい恋はしないだろう。
海斗は私の頬に触れると、ぎこちなく唇にキスをした。
不器用だけど、優しいキス。
「好きだ」
海斗が何度も繰り返す告白を、私は彼の胸で聞いていた。
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