46983人が本棚に入れています
本棚に追加
『今日さ、暇?』
海斗が携帯ごしに言う。何だか声がうわずってる。
「なに?」
『あのさ、今日。食事に行かね?ホテル予約したから』
「え?」
『あ、嫌ならいいんだ。ご飯だけでもいいし』
慌てた様に海斗は言う。
下心みえみえだ。
その様子が可笑しくて私は吹き出した。
「なんか変な事考えてない?」
海斗が携帯ごしにむせ込む。
『ば、馬鹿!それよりいくのか行かないのかはっきりしろ!』
「分かった、何時?」
『え?』
あっさりとした返事に海斗は変な声をあげる。
『あ、えと。店に5時て間に合う?』
「うん、分かったよ」
携帯を切る直前、海斗が「ヨッシャー」と叫んだのが聞こえたから、私はベッドの上で笑い転げた。
この時までは、
本当に忘れかけてたんだ。
和人の事を。
最初のコメントを投稿しよう!