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「さて、海斗。仕事仕事!
お姫様に魔法をかけるお時間よ」
ママがぽんと手を叩く。
海斗は頷き、私に奥へ行くよう促した。
『蝶の夢』は、表向きはニューハーフのお店。
夜になると様々な客がやってくる。
でも、ママは裏でもうひとつの仕事をしていた。
奥の扉を開けると、埋め尽くされる服、服、服。
真ん中には広いドレッサー。
海斗はそこに私を座らせる。
「いつもの、持ってきたか?」
私は側にあったバッグを海斗に渡した。
バッグを開くと、様々なメイクセット。
初めてここに来た時、海斗が自分用に準備してくれた。
一人ひとり肌質が違うから、ここの女の子は皆違うメイクセットを持ってる。
「さて、今日はどうする?」
私の髪を一房つまみ上げ、海斗が顔を寄せた。
私は呟く。
「綺麗にして」
「本当に単純だな」
海斗が笑った。
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