第2章

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「さて、海斗。仕事仕事! お姫様に魔法をかけるお時間よ」 ママがぽんと手を叩く。 海斗は頷き、私に奥へ行くよう促した。 『蝶の夢』は、表向きはニューハーフのお店。 夜になると様々な客がやってくる。 でも、ママは裏でもうひとつの仕事をしていた。 奥の扉を開けると、埋め尽くされる服、服、服。 真ん中には広いドレッサー。 海斗はそこに私を座らせる。 「いつもの、持ってきたか?」 私は側にあったバッグを海斗に渡した。 バッグを開くと、様々なメイクセット。 初めてここに来た時、海斗が自分用に準備してくれた。 一人ひとり肌質が違うから、ここの女の子は皆違うメイクセットを持ってる。 「さて、今日はどうする?」 私の髪を一房つまみ上げ、海斗が顔を寄せた。 私は呟く。 「綺麗にして」 「本当に単純だな」 海斗が笑った。
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