第10章

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和人も気づいたのか、驚いた様に私を見る。 エレベーターの扉が閉まった。 「な、何階?」 「下まで」 和人が静かに答える。 私は震える手で一階を押した。 「今日は、何?」 和人が前と変わらない声で聞く。 「海斗と、食事に」 私は声を震わせ、答えた。 「付き合ってる?」 和人が続けざまに聞いてくる。 緊張で声が出ない。 沈黙が続く。 「何で、海斗はよくて俺は駄目だったの?」 少しトーンが変わった。 ちょっと怒ってる? 「か、関係ない」 「いや、ある」 不意に目の前が暗くなり、私の壁に手をつき和人が私を囲む形で見下ろしている。 私は思わず息をのんだ。
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