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「まだ理由を聞いてない」
和人の目はあきらかに怒ってた。
私は震える声で聞き返す。
「な、何の」
「やっぱり、ゆりとの事が気になる?」
違う。
「契約違反だから?」
違う。違う!
「じゃあ、何なんだよ!」
苛々した様子で和人が壁を叩く。
私はその音に肩をすくませた。
「君が、今でも好きだ」
和人が、私の肩に頭を乗せる。
マルボロの香り。
あんなに求めた彼の香り。
「…きっと、あなたは嫌いになるから」
私の小さな声に和人は顔を上げた。
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