第10章

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「まだ理由を聞いてない」 和人の目はあきらかに怒ってた。 私は震える声で聞き返す。 「な、何の」 「やっぱり、ゆりとの事が気になる?」 違う。 「契約違反だから?」 違う。違う! 「じゃあ、何なんだよ!」 苛々した様子で和人が壁を叩く。 私はその音に肩をすくませた。 「君が、今でも好きだ」 和人が、私の肩に頭を乗せる。 マルボロの香り。 あんなに求めた彼の香り。 「…きっと、あなたは嫌いになるから」 私の小さな声に和人は顔を上げた。
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