第10章

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私は下を向いたまま、ワンピースを握りしめる。 「私は貴方に隠してる事があるの。 ずっと自分を偽ってる。 本当の私を知ったら、あなたが私を嫌いになると思ったから!」 最後は涙声になった。 震えながら泣く私を和人がそっと触れる。 「どんなに偽りでもいい。嘘でもいい。俺は、優花が好きなんだ」 両頬に手をおかれ激しくキスを落とされる。 「やめて」 無理に唇を離し懇願しても、和人は再び唇を合わせる。 「やめない。君から俺の事が嫌いって聞くまで」 エレベーターが降りる。 小さな箱の中で何度も繰り返すキス。 「言って、嫌いだって」 和人が激しいキスの合間に呟く。 途切れ途切れの吐息が熱い。 私はキスの快感に倒れそうになりながらも震える声で呟く。 「…言えないよ」 「言わなきゃやめない」 和人は私の頬を押さえ、自分の方を向かせる。 あんなに望んだ人が、今目の前にいる。 ああ、もう駄目だ。もう耐えられない。 「だって…」 私は和人の首に手を回すと自分から唇を合わせた。 和人が驚いた様に目を見開く。 「…あなたが好きだから。 だから嫌いなんて言えない」 私は唇を離し、ぽつりと涙を落とした。
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