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私は下を向いたまま、ワンピースを握りしめる。
「私は貴方に隠してる事があるの。
ずっと自分を偽ってる。
本当の私を知ったら、あなたが私を嫌いになると思ったから!」
最後は涙声になった。
震えながら泣く私を和人がそっと触れる。
「どんなに偽りでもいい。嘘でもいい。俺は、優花が好きなんだ」
両頬に手をおかれ激しくキスを落とされる。
「やめて」
無理に唇を離し懇願しても、和人は再び唇を合わせる。
「やめない。君から俺の事が嫌いって聞くまで」
エレベーターが降りる。
小さな箱の中で何度も繰り返すキス。
「言って、嫌いだって」
和人が激しいキスの合間に呟く。
途切れ途切れの吐息が熱い。
私はキスの快感に倒れそうになりながらも震える声で呟く。
「…言えないよ」
「言わなきゃやめない」
和人は私の頬を押さえ、自分の方を向かせる。
あんなに望んだ人が、今目の前にいる。
ああ、もう駄目だ。もう耐えられない。
「だって…」
私は和人の首に手を回すと自分から唇を合わせた。
和人が驚いた様に目を見開く。
「…あなたが好きだから。
だから嫌いなんて言えない」
私は唇を離し、ぽつりと涙を落とした。
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