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扉を開けると、いきなり抱きすくめられる。
煙草の香り。
和人は私を抱きしめたまま動かない。
「和人さん」
名前を呼ぶ。
その声に和人は私を見つめた。
「もう離さないから」
和人の言葉が私の心を占めていく。
私は彼の背中に手を回した。
「優花」
名前を呼ばれることがこんなにも嬉しいなんて。
抱きしめられるその腕がこんなにも愛しいなんて。
私達はそのまま動かずにいた。
お互いにその愛しい感触を求めあいながら。
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