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百合の花が赤く染まる。
背中に回した手に、温かい何かが流れる。
「あんたが、あんたが悪いのよ!」
笑いながら叫ぶ女性を通行人が押さえつけた。
私は自分の手のひらを見る。
赤い血。
誰の?
私を抱きしめていた和人がぐらりと崩れ落ちた。
肩が血で染まる。
苦痛に満ちた和人の顔。
「和人さん!」
私は和人を揺さぶった。
「大丈夫…?優花」
和人が苦しげに笑いながら私の頬を撫でる。
その手は血で染まっていた。
肩には切りつけられた深い傷。
「和人さん!和人さん!」
叫びながら揺さぶろうとする私を、近くにいた人が止める。
「動かしちゃ駄目だ!」
「誰か!救急車!」
沢山の人が和人の回りを囲む。
遠くから、サイレンの音が聞こえてきた。
私は通行人に止められながら、何度も何度も名を叫んでいた。
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