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海斗の開いた扉から、年配の男性が入ってくる。
「大変だったね」
優しげな声に、思わず涙がこぼれた。
「あの女性は、逮捕したよ。
少し精神的に不安定だったらしいと近所の人は言ってた。彼の亡くなった奥さんのお姉さん。
間違いないかな?」
私は頭を縦にふる。
「彼に妹を殺されたんだと強く思い込んで、それであんな事をしてしまったんだと私は思ったが、違うかい?」
「和人さんは悪くないです。
奥さんは不慮の事故で亡くなったと聞いてましたし」
私の言葉に、刑事はうんうん、と頷いた。
「そちらの方も、裏付けは取れてる。
彼は無実だし、あの女性が勝手に思い込んだだけだろう。とりあえず、明日彼に改めて聞く事にするよ」
刑事は肩を叩きながら立ち上がった。
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