第2章

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口紅の筆を持ち、海斗が私の顎に優しく指をかける。 ゆっくりと筆の先が唇をなぞっていく。 目を閉じているから、口紅を塗ってくれている海斗の表情は解らない。 逆にそれが私の胸を高鳴らせた。 男の人にこんな事をされるなんて、以前の私なら絶対に無い経験。 キスをされるより気持ちが高揚する。 髪が緩やかに巻かれ、海斗は私に声をかけた。 「目を開けて。お姫様」 私はゆっくりと目を開く。 鏡の中にいるのは平凡な女子高生なんかじゃない。 魔法をかけられた、シンデレラ。 鏡の中には、全く違う私が、嬉しそうに微笑みをたたえていた。
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