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私はいたたまれなくなり、病室を飛び出した。
「優花!」
お母さんの叫び声が聞こえる。
病院の長い階段を降りると、一番下で座り込んだ。
涙が止まらない。
嗚咽を上げながら頭を伏せる。
どうして自分でもこんなに泣けるのかわからなかった。
階段を降りる音が聞こえ、海斗が降りてくる。
「優花」
私は顔を上げない。海斗はその横に座ると、私の身体を抱き寄せた。
「よく、頑張ったな」
一言。
たった一言の海斗の言葉に、私は激しく泣き出した。
海斗は、私の背中をあやす様に撫でる。
私は、涙が枯れるまでずっと泣き続けていた。
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