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お母さんと向かい合わせに座り、
味噌汁に口をつける。
懐かしい味。
久々の団欒。
なんだか気持ちが穏やかになる。
昨日までのモヤモヤが嘘みたい。
お母さんは食べる私をじっと見つめ、やがて決意したかの様に声を出した。
「優花、あの人が好きなの?」
いきなりの質問に私は器を落としかける。
「あの、怪我をした人。好きなんでしょう?」
お母さんは怒ることもなく聞いてくる。
「私は…」
「いい人ね、あの人なら安心だわ。応援するわよ、お母さん」
お母さんがご飯を口に運びながら言う。
「あなたはちゃんと幸せになりなさい」
幸せに。
なれるだろうか。
和人にバレた嘘。
大人じゃないただの子供だと自分の口で言えなかった。
あんな醜態を見せられて、今頃呆れられてるかもな。
もう駄目かもしれない。
私は小さくため息をついた。
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