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「ほら」
海斗が私を立ち上がらせ、ハンガーにかかった服を手渡す。
黒い艶やかな生地の大人っぽいワンピース。
「着替えたら呼んでくれ」
海斗が部屋を出ると、私はそのワンピースに手をかけた。
少し胸元の開いたワンピースを着ると、鏡の前に立つ。
緩やかに巻かれた髪。
大きく強調された瞳。
濃いめのピンクに彩られた唇。
以前の自分とは違う自分に思わずため息が漏れる。
海斗を呼ぶと、再び入ってきた海斗は、私を立たせ、頭の先から爪先までぐるりと眺めた。
「よし、ガラスの靴だ」
手に持っていたやや高めのヒールを私に渡す。服と合わせた黒いヒールをはくと、海斗はにやりと笑った。
「完璧」
その言葉に、私も負けじと笑い返した。
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