第12章

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教室も、どこからか聞き付けたのか私の噂が広がっていた。 こそこそと噂話をするクラスメート。 私は自分の席に座ると、前を向いた。 悪い事なんかしてない。 私は悪い事なんかしていない。 そう考えても、心は重圧に押し潰されそうだ。 私は顔を伏せ、しばらく動かずにいた。 「優花」 頭の上から声がした。私は顔を上げる。 そこには春菜がいた。 前の席に座り、私を見ている。 「水くさいじゃん。優花。黙ってるなんて」 春菜はにやりと私に笑みを向ける。 「今度はダブルデートしよっか?大和くんと私と、その人でさ」 疑うことないその言葉に、私は目を丸くする。 「春菜は、その…私がウリとかしてたとか思わないわけ?」 「あんたにそんな度胸ないない。 あるわけがない」 春菜は堪えきれない様に笑った。
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