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私は、トイレで眼鏡を外す。
もう、仮面はいらない。
真面目な子を演じなくてもいい。
そう思うと気が楽だった。
「ほい」
そばにいた春菜が私に口紅を渡す。
優しいピンク色。
「あんた、可愛いんだから、も少し飾りなよ。
別に化粧する事は悪い事じゃないし。
自分の心を良い方に引き立たせる魔法と思えばいいじゃん」
春菜がその風貌に似合わない真実の言葉をはく。
魔法。
確かに魔法だ。
海斗に魔法をかけてもらわなかったら、私は今でも他人の影に怯えながら鳥籠の隅で泣いていたかも知れない。
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