第12章

12/14
前へ
/204ページ
次へ
和人は煙草を携帯灰皿に納めると、こちらに歩いてきた。 私の目の前で止まる。 春菜が何かを察したように、女の子達を遠ざけた。 和人は、私をぐるりと眺める。 「制服」 「え?」 「制服、可愛いね」 私のタイを指で触れ、和人が呟く。 「なんで、ここが」 私の問いに和人は意地悪っぽく笑った。 「電話した。海斗くんに連絡先を聞いて君んちに。お母さんが教えてくれたよ」 「お母さんが」 「待ってる時は照れ臭かったけどね。女の子にジロジロ見られて」 それは当たり前だろう。 ここは女子高だし。 現に、春菜に止められつつも女の子達が気になるのか私達を眺めていた。
/204ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46984人が本棚に入れています
本棚に追加