第12章

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校門に、女の子達の高い悲鳴が上がる。 抱きつく私に和人は少し痛そうな表情を浮かべた。 「まだ、傷が痛いんだよ」 「あ、ごめんなさい」 私は慌てて離れようとする。 その身体をゆっくりと引き寄せ、和人が私を胸に抱いた。 「駄目、離れないで」 暖かい鼓動。 優しい煙草の香り。 私は和人に抱かれながら目を閉じる。 後ろで春菜がこちらにVサインを向けていた。 幸せだ。 ちゃんと鳥籠に迎えに来てくれた。 綺麗な羽根なんかない私を。 女の子達の矯声に包まれながら、私達はずっとそのまま抱き合っていた。
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