46984人が本棚に入れています
本棚に追加
よく晴れた日曜日。
私達は再びゆりさんの墓を訪れていた。
綺麗な百合の花を手向ける。
「実はさ」
和人が墓の前に座り込んで言う。
「優花にずっと黙ってた事があるんだ」
私は和人を見おろした。
和人は顔を墓の方に向けている。
その表情はよくわからない。
「聞きたい?」
私はこくりと頷いた。
しばらく躊躇したように和人が黙り込む。
「何なの?」
私は隣に座り込んで、和人の顔を覗き込んだ。
「俺、知ってたんだよね。君が高校生だって」
「え?」
「だから、知ってたの。優花が女子高生だってのを」
「な!」
私はびっくりして声も出なかった。
最初のコメントを投稿しよう!