番外編

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「あなた、大丈夫?」 駅のベンチに座り込む俺に、誰かが声をかけてきた。 俺はぼんやりと上を見る。 派手な着物を来た年配の…女性? いや、ニューハーフが俺を見下ろしていた。 「大丈夫ですよ」 俺は作り笑いをして立ち上がると、彼?彼女に礼を言う。 「でも、今にも死にそうって顔してるわよ」 彼女はバッグから名刺を取りだし、俺の手に握らせた。 「これ、私のお店。良かったら飲みに来て。話くらい聞いてあげるから」 俺に手を振り、買い物袋を抱えながら去っていった。 お節介なオカマだな。 俺は苦笑すると名刺を眺める。 そこには『蝶の夢』と書かれていた。
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