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「まさか来てくれるとは思わなかったわ。貴方嫌そうな顔してたし」
水割りを作りながらママが意地悪そうに言う。
「すみません」
「あら、いいのよ。いきなり私みたいなのに声かけられたら誰だってびっくりするわよねぇ」
水割りを俺に差し出す。
俺は静かに口をつけた。
「話を、したくて」
呟く俺にママは真顔になる。
「大丈夫、ここには噂話に耳を傾ける人も、話に意見したり批判する人もいないわ。耳から耳よ」
俺は一瞬戸惑う。
「詮索はしない。これがこの店のルール」
片目をつぶるママに初めて緊張が溶ける。
そして俺はすべて話したんだ。
苦しい胸の内を。
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